2025年2月18日、中長期の見通しとして「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」(GX推進戦略)を改訂した「GX2040ビジョン」が閣議決定されました。
概要
GX2040ビジョンは、(1)はじめに、(2)GX産業構造、 (3)GX産業立地、(4)現実的なトランジションの重要性と世界の脱炭素化への貢献、 (5)GXを加速させるためのエネルギーをはじめとする個別分野の取組、(6)成長志向型カーボンプライシング構想、(7)公正な移行、(8)GXに関する政策の実行状況の進捗と見直しについての8つのパートで構成。目指す産業構造や成長のためにもエネルギー政策と一体となり、エネルギー安定供給確保、経済成長、脱炭素を同時実現するため、ビジョンで示す方向性に沿って政策の具体化を進める。
主な内容
(2)GX産業構造
革新技術を活かした新たなGX事業が次々と生まれ、日本の強みである素材から製品にいたるフルセットのサプライチェーンが、脱炭素エネルギーの利用やDXによって高度化された産業構造を目指す
■GX産業につながる市場創造
- GX価値の見える化、GX製品の民間企業の調達促進、公共調達等、GX製品・サービスの積極調達のための環境整備、スケールアップにつながるGXディープテックスタートアップの製品・サービスの調達を促すための支援等に取り組む
■中堅・中小企業のGX
- 中堅・中小企業が簡易にエネルギー消費量や排出量の算定・見える化を行うため、省エネ診断の充実等や中小企業基盤整備機構による排出削減計画の策定等のハンズオン支援等を行う
- 省エネ等を促進する設備導入支援、GXに資する革新的な製品・サービスの開発や新事業への挑戦を通じた中小企業の新市場・高付加価値事業への進出を支援する
- 中堅・中小企業の取組を金融機関や支援機関等が連携してサポートする、地域におけるプッシュ型の支援体制の構築を進める
(6)成長志向型カーボンプライシング構想
- 事業者の予見性を高め、GX投資の前倒しを促進するための支援・制度一体型の措置
- 20兆円規模のGX経済移行債を発行、GXのための先行投資支援
- 2028年度から化石燃料賦課金導入、2026年度から排出量取引制度を本格稼働、2033年度からは発電事業者への有償オークションを導入と段階的にカーボンプライシングを導入
補足
「カーボンプライシング」が導入されることが明記されている。「カーボンプライシング」は、化石燃料賦課金導入(炭素税)や排出量取引制度だけに注目すると、CO2排出にペナルティが科せられ、企業にとって負担増のリスクと捉えることになる。
一方で、GX製品・サービス市場創造も謳われている。こちらは、「カーボンプライシング」により「CO2排出を削減する付加価値」を積極的に後押しすることを意味している。「成長志向型カーボンプライシング構想」の「成長志向型」とは、化石燃料賦課金や排出量取引におけるペナルティに先んじて、「CO2排出を削減」する市場創造へ政策的な先行投資をしていくことを意味する。こちらにも着目して、積極的に活用すべきと考える。
関連資料
以上(2025/2/24, 2025/2/25追記)