2024年当初に、中小企業の定義が変更されましたが、2024年11月より、中小企業の定義を含め、申請内容が変更されました。申請ルートが異なる一般、金融、中小企業の申請をできる限り統一する目的があるのではないかと考えます。
なお、本内容は即時性を優先しました。今後、原文の理解・解釈の進展により、本内容を修正・追加して行くことがあります。
主な変更点
- 企業情報登録と申請の方法の変更
- HPがかなりリニューアルされた。
- 申請手順が一般・金融・中小企業で統一化された。
- 基準等のドキュメントに関しても、形式・内容において統一化・整合化を進めた。
- 中小企業版の申請の条件が変更された。従業員数(<240人)、売上高(<€50 million)、総資産(<€25 million)、土地利用部門に分類されない(not in mandatory forest, land and agriculture (FLAG) sectors)の内、適合が3つ以上。
- アカウントを最初に作成する手順となった。この時点で、審査ルートの適格性(一般、金融、中小企業)が判断できる書類(財務諸表等、サステナビリティ報告書等)の提出を求められる。
- 基準年と目標値設定の方法・内容が変更された。一般のScope1、Scope2の目標設定に近くなった。
- 半年以内の目標設定の開示
- 中小企業としては、新たに追加された。
- Scope1,2インベントリの説明の詳細化
- ドキュメントから察すると、申請時の説明項目が増えている。
- ただし、目標設定のオプションの選択次第では要求されない説明項目もあり得る。
変更点の補足
中小企業の目標設定
申請前の必要情報等の確認項目
■申請の流れ
- SME Registration Information
- アカウントを作成し、企業情報等を登録する。
- この時点で、申請 = Validationの選択(一般、金融、中小企業)の適格性を判断する。
- 手順において、一般、金融、中小企業による違いは無くなった。
- SME Target Validation Service Selection
- 「SME Target Validation Types = 目標設定」を選択する。
- SME’s Emissions Profile
- 以下で準備が必要な項目を示す。
- Contractual and Payment Information
- Additional Information
■「3. SME’s Emissions Profile」の主な項目
□排出プロファイルセクション
- GHGプロトコルなどに従うかなどの確認
- 6ヶ月以内の目標公表の確認
- 事業活動の説明
- 販売する製品および/またはサービスの説明
□スコープ1排出量インベントリ
- 基準年のスコープ1排出量(tCO2e)
- 対象範囲内の排出量を計上する主な業務および活動の簡単な説明
- インベントリから除外されたスコープ1および2の排出量の割合
- スコープ1と2の排出量のうち、目標に含まれる割合
- 基準年における定置設備の燃料使用に伴う排出量(tCO2e)
- 移動・輸送手段の燃料使用に関連する排出量(tCO2e)
- 漏洩排出に関連する排出量(tCO2e)
- 工業プロセスに関連する排出量(tCO2e)
- スコープ1排出量の計算に使用した排出係数の出典
- スコープ1排出量を削減するために実施する予定の削減手段の説明
□スコープ2排出量インベントリ
- 基準年におけるスコープ2のロケーションベースの排出量(tCO2e)
- 目標の進捗状況を追跡するためにどのスコープ2手法を使用するか(市場ベースまたはロケーションベース)。市場ベースの場合、市場ベースでの排出量も提出
- 排出量を計上する主な業務および活動の簡単な説明
- インベントリから除外されたスコープ2排出量の割合
- 基準年の購入した電力に関連する排出量(tCO2e)
- 暖房や冷房を購入しているかどうか、また該当する場合は基準年における暖房や冷房(熱・冷熱)の購入に関連する排出量(tCO2e)
- 再生可能エネルギー証明書などの再生可能エネルギー手段は市場ベースのアプローチを使用してスコープ2排出量の削減を満たすためにのみ使用しているか
- 基準年の市場ベースの機器(手段=契約内容?)がスコープ2の品質基準に準拠しているか
- 市場ベースの機器(契約内容?)がスコープ2の品質基準に準拠しているか
- スコープ2排出量を削減するために実施する予定の削減手段の説明
□スコープ3排出インベントリ(スコープ3の扱いは、目標設定オプションによって変わる)
- 選択した年のスコープ3排出量
- スコープ3排出量のうち、除外された排出量の割合
- スコープ3における排出量を構成するすべてのカテゴリと活動
- 排出量削減に向けた進捗を報告することの確認(オフセット利用以外の部分)
- 削減しきれない発生源の影響をオフセット(吸収・除去含む)することの確認
- スコープ3排出量を削減するために実施する予定の削減手段の説明
□裏付けとなる文書(すべてのターゲット検証サービスオプションに必要)のアップロード
- 所望のドキュメントに準拠していることの裏付けとなる書類:Inventory calculation results through tools Based on the GHGP, consultancies’ reports, RECs, etc.
- 準拠の基になるガイドライン等:GHGプロトコル企業標準(the GHG Protocol Corporate Standard)、スコープ2ガイダンス(the GHG Protocol Scope 2 Guidance)、温室効果ガスプロトコルバリューチェーン(スコープ3)会計および報告標準のネットゼロ検証サービス(the Greenhouse Gas Protocol Value Chain (Scope3)Accounting and Reporting Standard for net-zero validation services)
- 関連ファイルをアップロードしないと、それ以降の申請プロセスが拒否される。
中小企業版SBTに関するリソース
- Target Validation Application Checklist for SMEs
- FAQs for SMEs
- Setting a target as an SME
- SME Climate Hub tools (for smaller SMEs in earlier stages of developing emissions inventory)
※免責事項:原文の誤訳、修正、変更があった場合はご容赦願います。申請時等には、自己責任で原文の確認をお願いします。
以上(2024/11/21)